家庭用蓄電池はまだ買い時ではない!?

おカネのはなし

円安・物価高でいろんなものが高騰していますが、エネルギーコストを少しでも節約すべく、家庭用蓄電池の購入を検討している方も多いと思います。
かく言う私も実際どっちがお得なんだろうか…と悶々とする日々を送っていますので、このもやもやを晴らすべく、きっちりと検証してみました。

家庭用電気料金について

私は九州に住んでいますので、九州電力の電気代をベースに検討を進めます。
九州電力は、原子力発電所が再稼働していて、日中の太陽光発電量が多く出力制限が頻繁に行われているなど、固有の事情がありますので、それに応じた電気料金プラン出されています。

電化でナイト・セレクト:深夜電力がお得なプラン

平日料金昼間(夏・冬)27.63円
夜間14.59円
休日料金昼間(夏・冬)22.01円
夜間14.59円
※九州電力より

おひさま昼トクプラン:太陽光発電の時間帯がお得なプラン

だんらんタイム(18:00~08:00)18.37円
シフトタイム(8:00~10:00/16:00~18:00)(夏・冬)35.02円
おひさまタイム(10:00~16:00)(夏・冬)13.47円
※九州電力より

家庭用蓄電のメリット

次に、家庭用蓄電池を設置するメリットを検証していきます。本来は災害時の対応なども含めて検討すべきですが、今回はあくまでコスト面だけの話ですのであしからず。
家庭用蓄電池でエネルギーコストを削減するということは、結局、高い単価の電気を使わずに低い単価の電気を使うということなので、単価差×電気使用量以上のメリットは出ません。
逆に言えば、単価差×(使用量+充放電時ロス)>家庭用蓄電池価格 となれば、家庭用蓄電池を導入した方がお得ということになります。
おひさま昼トクプランの場合、時間帯による最大の単価差は20.51円/kw です。単価が高い時間帯に月100kWh使用するとすれば、家庭用蓄電池を導入することで月2,000円(20.51円×100kWh)、年間24,000円(2,000円×12か月)の節約ができます。家庭用蓄電池の寿命は一般的に15年程度のようなので、15年使ったとして、36万円(2.4万円×15年)の節約となります。
一方で、家庭用蓄電池の導入コストの相場は1kWhあたり18.7万円(税別)といったところらしいので、10kWhの蓄電池を導入するには187万円かかるという事になり、節約額の36万円と比較するとまったく採算が合いません。

<京セラ コラム>
https://www.kyocera.co.jp/solar/support/topics/jyumyo-storage-for-residential/
<エコでんち>
https://ecodenchi.com/post-4332/

補助金があると話は変わってくる

まったく採算が取れさそうな家庭用蓄電池ですが、国や都道府県、市区町村で補助金が設定されているケースも多いようです。
導入時に補助金が受けられるとその分導入コストが低下しますので、多少は採算ラインが近づいてくるかもしれません。
実際にお住いの地域にどんな補助金があるのか、調べてみる価値はあるかもしれません。


<オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社>
https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/energy/chikuden-navi/subsidy.html

太陽光発電設備があると大きく話は変わってくる

太陽光発電設備がある場合にはさらに話が変わってきます。
発電した電気を家庭用蓄電池に貯められるならば、電気の購入量を圧倒的に下げる事ができるからです。単価「差」だけでなく、電気代「総額」が節約額となるわけです。
仮に、家庭で使う電力を全て太陽光発電設備で賄えた場合、上記の事例での効果は1万円/月となります。また、今後エネルギーコストが上昇すれば、その分が節約額となります。仮に電気代が1.5倍に上昇すれば、節約額も1.5倍になります。
なお、上記の事例では家庭用蓄電池の容量は20kWh(585kWh÷30日≒20kWh/日)程度ですので、家庭用蓄電池の導入コストは374万円(18.7万円×20)となります。
30年程度で投資が回収できる計算になります・・・比較的条件は良くなりますが、それでもやはり厳しいです。

蓄電池コストが下がらないと投資回収できない。

今後、エネルギーコストが上昇するのであれば採算ラインも下がるとは思いますが、家庭用蓄電池のコストが下がらない限り、上記の通り投資回収は遠いだろうなと思います。
家庭用蓄電池に関して言えば、新たな方式の蓄電池や自動車用電池の再利用など、新たなシステムが開発されるだろうと思います。そうした技術革新で蓄電池価格が大きく下がったタイミングが買いの時期ではないかと思います。
もっとも、大規模に蓄電池を構える事業者が出てきていますので、電気の供給環境も今後大きく変わってくると思います。
20年、30年を見越した投資判断は難しいと思います。

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