ふるさと納税のしくみ

おカネのはなし

巷で盛んに話題になる『ふるさと納税』。実質2,000円の負担で返礼品がもらえると言われますが、実際にはどういうしくみになっているのでしょうか。ここではあくまでイメージをつかんでもらえたらと思っています。
本当にきちんと理解したい方は、総務省のサイトを参照ください。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html

1.そもそも税金はどうやって決まるのか?
ふるさと納税を考えるうえで、まず理解しないといけないのは、税金がどのように決まっているかです。
給与から引かれる税金は主に次の2つがあります。
●所得税(国税)
 所得税は、給与を支払うタイミングで金額を仮確定し、支払う給与から徴収されます(源泉徴収)。1年の最後の給与支払い時に、1年間の給与等から本来の税額を算定し、既に徴収した税額と精算します(年末調整)。徴収されたお金は国に納められます。
●住民税(市民税・県民税)
 住民税は、前年(1月~12月)の所得を基本情報として、翌年の6月から給与より徴収されます(特別徴収)。徴収されたお金は自治体に納められます。

所得税も住民税も「所得」を基準にして税額を決めます。
所得とは、語弊を恐れずに言えば、収入から必要経費を引いたようなものです。
ここで必要経費と書きましたが、具体的には以下のようなものが予め決められています。
・給与所得控除:サラリーマンにとっての必要経費のようなもの。収入額に応じて決まる。
・扶養控除:家族を養うための経費のようなもの。家族の人数や年齢、収入等で決まる。
・保険料控除:自身が加入した保険料の一部を所得から差し引く。
・寄付金控除:自治体や団体に寄付をしたとき、その一部を所得から差し引く
・住宅ローン控除:住宅購入のためにローンを組んだ時に、残高の1%を所得から差し引く。…などなど

上記「所得」が確定したら、その額に応じた税率をかけて税額を算出します。
所得税は累進税率ですので、所得が大きくなればなるだけ徴収される税率も高くなります。(~45%)
逆に住民税の税率は一定で、およそ所得の10%程度です。

2.ふるさと納税の流れ
ふるさと納税とは、自治体への寄付とよく耳にすると思います。
具体的には以下のような流れで戻ってくるようになります。
①ある自治体に寄付をする。

②返礼品と寄付の証明書を自治体から受けとる。
③寄付を証明する書類を用いて確定申告をする。(またはワンストップ納税手続きをとる。)
④確定申告に応じて、寄付した額の何割かは、寄付した年の所得税の還付として戻ってくる。
⑤また、寄付額から④で戻ってくる額を差し引いたら残りの額は、寄付した翌年の住民税減額の形で戻ってくる。
※戻る額の算定の基準になる額は、寄付額全額ではなく、寄付額から2,000円を差し引いた額です。

3.ふるさと納税の特例
ふるさと納税は、1.で記載した寄付金に該当するものですが、住民税だと寄付額の10%程度、所得税だと最大でも寄付額45%程度しか税金の減額に寄与しないはずです。よく言われる「2,000だけ手出しして…」とは程遠い開きが出てきます。そんなに住民税が減るはずないじゃないかと思うかもしれません。
ですが、ふるさと納税のために、10%を超えて住民税が減額される特例が設けられており、これによりほぼ全額が返ってくる仕組みができあがっているのです。
ただし、この控除額には上限など細かな制約はあり、これがよく言われるふるさと納税の「限度額」なんです。

【ふるさと納税による減税額(ざっくりと試算)】
●所得税減税額
 寄付額 × 適用される所得税率(所得水準により異なります)
●住民税減税額(通常分)
〔 通常分 〕寄付額 × 10%
〔 特例分 〕 (寄付額 - 2,000円) × (100% - 所得税率 - 通常の住民税率)

4.おわりに
日々、汗水流して働いている皆さんにとって、 税金に対して
「そんなのしらねーよ!会社が勝手に引いてるんじゃないの?忙しいんだから、そんなことにかまってられないよ」
といった感覚をお持ちの方も少なくないはずです。
大事なお金だからこそ、少なくはない金額だからこそ、どこにどれだけどのように出て行っているのか知っておくことは大事ではないでしょうか。
税金の仕組みがわかってくると、行政がどのようにお金のことを、有権者のことを考えているのか、少しだけ感じ取ることもできます。納税者全員が合理的に動けば、「ふるさと納税」なんて制度は成り立ちません。
いつなくなっても仕方ない制度だと思えば、「今年から」ふるさと納税に向き合ってみようと思いませんか?

※当サイトに記載している事項で不利益が生じても、当方は責任を負いかねます。

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